花紀行*南仏プロヴァンスの花便り |
*グラース編 |
ローズウォーターやローズオットー、香水の原料となる豊かな香りの香料が採取されるのはブルガリアやペルシャ(イラン)、サウジアラビア、トルコなどで栽培されているダマスクローズと、フランスやモロッコ、チュニジアで栽培されているセンティフォーリアローズがあります。花を咲かせるのは1年のうちのワンシーズンだけ、たった40日ほどの短い期間に限られています。 ♪【グラースの街】
18世紀になると皮革製品の多くは製造をイタリアやポルトガルに移したのですが、花の栽培はそのまま保護されたため、香水は地場産業として本格的な発展を遂げ、現在に至っています。一流の調香師はなんと3000種類もの香りの違いを嗅ぎ分けるそうです。つまりそれだけの香りを識別 できなければ一流ではないということで、これは努力や訓練をすれば誰でもなれる訳ではなく、もって生まれた天性に負うところが非常に大きいということです。そうでしょうとも!
ここではすべてが無農薬栽培なので、自家製ローズジャムも生産されており、センティフォーリアの花びらが舞う淡いピンク色のジャムは透明なビンの中で輝くクリスタルのようでした。食べてみると、口の中で香りが広がり、食べ終わった後も自分がバラの呼吸をしているようでとても楽しい(?)ジャムでした。
水蒸気蒸留法で精油を採取するダマスクローズは日が昇るにつれ、精油の含有量 が半分以下に減少してしまうため、花の摘取りは時間との競争になり、通常は早朝から行われ、お昼前には終了します。このバラ園では主にセンティフォーリアローズが栽培されていますが、摘取りはいつもお昼過ぎから夕方の5時頃までということでした。 ♪【プロヴァンスのシンボル】 遠くには頂上に雪を抱いたアルプスの端が覗き、人の手がはいらない自然のままの環境で育ったラベンダーの力を、人は何千年も前からオイルを作って体のマッサージをしたり、煎じてお茶にしたりして生活に取り入れてきたのですね。この変わらぬ
雄大な景色の中でラベンダーは毎年花をつけ、私たちは古人がしていたであろう同じ方法で病気の予防や怪我の治療、リフレッシュやリラックスのためこの花の恩恵を授かるのです。 次回はマルシェ編をお届けします。
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第1弾:バナナフラワーを読む。
第2弾:アーティチョークを読む。 |